コース概要
本講座はインターネットまたは内部ネットワーク向けに公開するWebアプリケーションをセキュアに構築するための要件や設計を学ぶことを目的としています。
“セキュリティ対策に終わりはない”ことは事実ですが、Webアプリケーションにおいては新しい攻撃手法が次々に登場するわけではないため、セキュアに構築するためのセオリーがあります。
つまり、攻撃に対応した安全なWebサイトを構築するためのセキュリティ要件は明確になっていて、それに対応した設計を施し、実装することで、攻撃の大半は防ぐことができるのです。
セキュリティの問題を修正する場合、開発後のフェーズになるほど高いコストが必要になってきます。要件定義や、設計段階での不備は、後の全フェーズに影響します。そのため、セキュリティの問題は設計段階までには解消しておくことが重要です。
セキュリティ対策を適切なコストで確実に行うためにも、Webシステムの要件定義書には機能要件や性能要件などに加えて、セキュリティ要件を必ず盛り込み、それに基づいた設計を行うことが必要なのです。
本講座では安全なWebアプリケーション開発のために必要な要件と設計の具体例を学びます。
本講座では下記のスキルを習得することができます。
- セキュアなWebシステム/Webアプリケーションを構築するために必要な知識
- 発注者・開発者に必要なWebシステム/Webアプリケーションのセキュリティ要件
- 上記セキュリティ要件を満たす設計の具体例
本講座で使用するドキュメントは実務でのセキュリティ要件の作成時や設計時に、そのままご活用いただける内容となっています。
Webアプリケーションの脆弱性や攻撃手法について学びたい方は、併せて自社で取り組むWebアプリケーション脆弱性診断講座の受講をお勧めします。
本講座で学ぶことができる要件や設計方針は、特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会の日本セキュリティオペレーション事業者協議会のセキュリティオペレーションガイドラインWG(WG1)と、OWASP Japan主催の共同ワーキンググループである『脆弱性診断士スキルマッププロジェクト』が公開している『Webシステム/Webアプリケーションセキュリティ要件書』に基づいています。
対象者
イントラネット/内部ネットワーク向けのWebシステム/Webアプリケーションに関わる下記の方が主な対象者となります。
- Webシステムの発注者
- Webアプリケーション設計者・開発者
PCI DSSなどで要求されるOWASP Top 10などに基づいた安全なコーディング技法に関するトレーニングが要求されている場合などにも最適です。
内容
セキュリティ要件
- セキュリティ要件の原則
- Webアプリケーションのセキュリティ要件
セキュアWebアプリケーションの構築
- 認証
- 認証の目的
- NIST SP800-63B、Authenticatorのタイプ、AAL
- Webアプリケーションで使う主な認証の種類
- BASIC認証、DIGEST認証
- フォームベース認証
- 認証を行うべき箇所
- 強いパスワードとは
- パスワードのハッシュ化、salt、ストレッチング
- パスワードの作成について
- ユーザーへのパスワード通知方法
- パスワードの変更機能
- パスワードリセット機能
- 秘密の質問について
- 認証実行時のエラー処理、ログ記録
- アカウントロック
- パスワードリスト攻撃対策
- 二要素認証、リスクベース認証
- 認可
- 認可の目的
- アクセス制御の失敗例
- アクセス制御方法
- OpenID, OAuth, シングルサインオン
- 限定公開URL
- FIDO認証
- セッション管理
- セッションIDの役割
- Cookie
- 設定すべきCookieの属性値
- セッションIDを利用した攻撃を防ぐ設計
- セッションタイムアウトの設計
- ログアウト機能
- セッションIDの生成
- CSRF対策
- トークン方式
- SameSite属性
- 入力処理
- クライアント側での入力値チェック
- Webアプリケーション側でのチェック
- パラメーターについて
- 入力値の文字種や文字長の検証
- 文字エンコーディングの統一
- 入力値としてファイルを扱う場合
- XMLファイルを扱う場合
- デシリアライズについて
- 出力処理
- 出力処理で必要なこと
- 特殊文字のエスケープ処理
- HTMLを生成する際の処理
- HTMLのエスケープ処理
- その他のスクリプト埋め込み原因の排除
- クライアント側でHTMLを生成する際の処理
- SQL文を組み立てる際の処理
- JSONの生成
- OSコマンドを呼び出す処理
- HTTPレスポンスヘッダーについて
- リダイレクタを使う際の注意事項
- HTTPS
- SSL/TLS
- HTTPSの仕組み
- 証明書に対する攻撃
- HTTPSを使う際の注意
- 証明書の種類、用途による使い分け
- 安全なプロトコルと暗号アルゴリズム
- フィッシングサイトに対抗するには?
- その他
- エラーメッセージハンドリング
- 暗号アルゴリズムと乱数について
- 疑似乱数生成器
- 言語・フレームワーク・ミドルウェア・ライブラリなどの選定
- ログの記録
- ユーザーへの通知
- Access-Control-Allow-Originヘッダーについて
- クリックジャッキング対策
- キャッシュ制御について
- CAPTCHAについて
- 言語環境のセキュリティ設定
- 用意すべきドキュメント
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